感染拡大が続く新型コロナウイルスを口実に、お金などをだまし取ろうとするうその電話が東京都内で増えている。国民に一律10万円を配る給付金制度に関する手口も目立ち始めた。荒川区で実際の被害も初めて確認されたといい、警視庁は今後も続くとみて注意を呼びかけている。
「新型コロナ関係の仕事をしていて大事な書類をなくした。お金がない」。荒川区の70代女性のもとに23日、実兄の名を名乗り、男の声で電話があった。「信頼できる男を行かせるからお金を渡してほしい」と言われ、女性は27日にかけて数回、自宅近くの路上に現れた何者かに現金計1420万円を渡したという。
新型コロナ関連のうその電話は28日までに24件確認されており、「お困りでしたら融資します」「80歳以上の人には補助金が60万円出ます」といった内容だった。うち5件は給付金制度に関するもので、都職員を名乗る人物が「手続き書類を持ってうかがいます」と言ってきたり、案内に従うよう求める音声ガイダンスが流れたりしたという。
都外では、「給付金配布につきお客さまの所在確認」と題する不審なメールも相次いでいる。記載のURLにアクセスすると、銀行口座や住所、氏名などの個人情報を入力する画面に移行するという。警視庁の担当者は「省庁や自治体の職員が戸別訪問や電話をしたり、給付金制度でATMの操作や手数料の振り込みを求めたりすることはない」としている。(吉沢英将、高島曜介)
朝日新聞社
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