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「スラップ訴訟」への抗議活動も 電話番号開示請求可能になってもネット中傷が減ることがないと思う理由(ふじいりょう) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース

 総務省が2020年8月31日にプロバイダ責任制限法の発信者情報を定める省令を改正(参照)。従来は氏名・住所・電子メールアドレス・IPアドレス等が対象だったが、SNSなどの運営企業へ投稿者の電話番号が新たに開示を請求できるようになり、弁護士を通じて携帯電話会社へ損害賠償訴訟などに必要な投稿者の氏名と住所を照会が可能となった。

 

 電話番号、開示請求可能に ネット中傷対策―総務省(時事ドットコム)

 この公布の日に施行という早さは、プロレスラーの木村花選手の死去により、TwitterなどのSNS上での誹謗中傷への対策を求める世論が高まったことが理由として挙げられている。

 

 木村花選手の死去によって、悪意が悪意を呼ぶ展開には絶対にしてはならない

 これまで、Webサービスに氏名や住所を登録せずに利用しているユーザーが多く、携帯電話会社やプロバイダーに追加で開示請求を訴えなければならず、煩雑な手続きが必要だったことを考えれば、今回の改正で一定の抑止効果が期待されている。誹謗中傷による名誉毀損・侮辱などにより、実害を被っている人にとっては朗報と捉えることができる。一方で、著名人や政治家がこの機会に発信者情報開示請求を実際に訴える、もしくは訴えることを示唆するケースが頻発しており、言論の自由が脅かされる懸念がある。

 例えば、前新潟県知事で次期衆議院選挙に新潟5区から出馬を表明している米山隆一氏が、妻の室井佑月氏への誹謗中傷があったとしてTwitterユーザーの発信者情報開示を訴え、仮処分決定した旨のツイートをしている。

 また、小西洋之参議院議員は、厚生労働省の元事務官だったというYouTuberと国会審議の質問主意書提出についてTwitter上でバトルとなり、「もし虚偽を述べているのだとしたら法的措置のレベル」だとツイートした。

 この双方のケースの真偽について、ここでの言及は避けたい。ただ、個人的には「持てる者」が「持たざる者」を法律・裁判という武器により黙らせるという行為がまかり通って本当に良いのか、いま一度冷静になって考えてみる必要があるように感じる。

 言うまでもなく、政治家と何のバックボーンもないSNSユーザーを比較するならば、前者の方が圧倒的に強い立場だと言えるだろう。名誉毀損は、社会的評価の低下の有無の問題で、事実の真偽は問題にされない。訴える側にとって「都合の悪い事実」を繰り返しツイートした場合、「誹謗」=「他人を悪く言うこと」として、訴えられる側の情報開示請求が裁判所で認められる可能性がある。当然ながら「社会的評価の低下」は、政治家を含めた社会的地位の高い人の方が影響が大きい。

 

 とはいえ、『弁護士ドットコムニュース』の記事によると、現状ではTwitterやInstagramなどの海外企業の運営するSNSの場合、送達手続に半年程かかる上に、判決までは早くても8カ月~1年弱程度かかり、事業者が電話番号を情報として保有していない際には「空振り」になってしまうという。

 

 ネット中傷、投稿者の電話番号も開示対象に…でも「万能」ではない、その理由とは?(弁護士ドットコムニュース)

   

 実際に誹謗中傷に苦しんでいる弱い立場の人が、訴訟というアクションを起こそうとしても、手続きが一つ減ったとはいえ、長い戦いを強いられるのは変わらない。その一方で、資金面と時間に余裕がある「強い者」がスラップ訴訟を起こす余地が増えていると捉えることができる。

 現在のインターネット空間では、先鋭化したユーザーの投稿がクローズアップされることが多い。前述した米山氏には、その行動を批判する目的のハッシュタグ「#米山隆一氏のスラップ訴訟に抗議します」がTwitterでトレンドになった。特定の政治的志向があるユーザーが、トレンド入りを狙う動きが常態化しており、それが「分断」を招いて訴訟合戦に繋がる可能性については以前にも指摘したが(参照)、本来であれば訴訟の前に「言論には言論で対抗する」ことが筋だろう。

 このような「悪意が悪意を呼ぶ」展開に、特定の志向を持たずにSNSを利用している大多数のユーザー(各種調査では95%以上がこれに当たる)に辟易しているようにも思える。誹謗中傷への対策は必要で、今回の法令改正については筆者も歓迎したいところだが、同時に安易な法的措置によって一般のユーザーに萎縮の空気が広がる現状に対して「なんだかなぁ」と思うし、根本的な解決に繋がっていない。

 

 また、誹謗中傷と捉えられる投稿を「なぜして(できて)しまうのか」ということへの考察も不足しているように感じる。識者の中ではネットにおける「匿名性」にその理由を求める向きがあるが、実名が基本のFacebookでも「クソリプ」を飛ばす人は飛ばしてくるので、説得力に欠ける。個人的にヒアリングした感触では、社会的地位が低く、将来的にも向上する機会がないと感じている人ほど、攻撃的な投稿をしている傾向があり、その「失うモノのなさ」が根本的な理由なのではないかと考えているのだが、いずれにしても法令を変えたことにより誹謗中傷や名誉毀損、侮辱といった投稿が減るのかどうか、今のところは懐疑的に見ざるを得ない。

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September 30, 2020 at 04:49AM
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