【「表と裏」の法律知識】#16
自動車運転中に携帯電話で通話したり、その画面を注視する、いわゆる「ながら運転」行為の罰則が大幅に引き上げられました。今月1日から施行された改正道路交通法ですが、今回の改正により「ながら運転」をした場合の違反点数と反則金は3倍となります(違反点数1点→3点、反則金<普通車>6000円→1万8000円)。また従前5万円以下の罰金だった罰則が、6月以下の懲役または10万円以下の罰金となりました。
この厳罰化のニュースに伴い「携帯電話を持っているだけでも捕まりますか?」「赤信号で停車している間も携帯電話を操作してはいけないのですか?」という質問をよく受けます。答えはいずれもNOです。
道路交通法が禁止しているのは携帯電話を利用した「通話」と「画面の注視」だけです。裏を返せば、通話や注視をしていなければ道路交通法に違反しません。また道路交通法には、自動車の停車中は摘発の対象外だとはっきり規定されていますので、赤信号での停車中に携帯電話を操作することも道路交通法には違反しないことになります。
では、自動車運転中にイヤホンなどを装着して通話をする行為はどうか。それ自体を禁止する規定はありません。ただ運転中にイヤホンなどを装着して大音量で音楽を聴くなどすると、クラクションや踏切警報機の音が聞こえづらい危険な状態をもたらすので、安全運転義務違反(3月以下の懲役または5万円以下の罰金)になる可能性があります。
一方、走行中に電話を受けるために携帯電話を手に取って操作すれば、画面を注視していると評価され「ながら運転」として摘発される可能性が高いです。この点は気をつけましょう。いずれにしても、警察に声をかけられること自体が煩わしいので、「君子危うきに近寄らず」が一番だと思います。
(髙橋裕樹/弁護士)
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