記録的豪雨で浸水し、孤立状態にあった熊本県八代市の坂本町地区で、市職員が発災から24時間の緊迫した状況を記録していた。「ネット不通、電話も!」「支所裏浸水開始」。刻一刻と球磨川の水位が上がるなか、被災メモからは焦りと不安を募らせる住民の様子が伝わってくる。
メモを残していたのは同市坂本支所で働く建設政策課の堀口博之さん(48)。同僚2人と支所の当直に入った堀口さんの記録は、3日午後9時39分の大雨警報発令から始まる。
「家の裏の状況を見てほしい」。住民から最初の支援要請が入ったのは約6時間後の4日午前3時49分。その後は支流の氾濫や家屋への土砂流入、道路寸断と電話が鳴りやまない状態になった。午前4時12分、避難を呼びかける町内放送を流したが雨の音にかき消され、住民からは内容を問い合わせる電話があった。
支所の川向かいに住む会社員、山下信一さん(62)は「未明に放送していたのは分かったが、雨の音で聞こえず、外の様子も暗くて見えなかった」と振り返る。午前5時ごろ、隣人の呼びかけで高台に避難したという。
午前4時50分、大雨特別警報が発令されたが、支所にはすでに「自宅前が50センチほど浸水している」という同僚からの連絡が入っていた。午前5時7分には支所前の橋が冠水。増水は続き、流されてきた家屋やミキサー車が橋脚とぶつかって、橋が流失した。
午前5時から、支所に避難したいとの連絡が入り始めた。だが支所1階にも水が流れ込み、堀口さんは支所のパソコンを移した後、隣接する公民館の3階に移動した。「最後は支所の2階近くまで水位が上がり、急いでガラスを破って隣の公民館の3階に移った」という。
整った文字が並んでいたメモは、球磨川の水位が上がるにつれて殴り書きに変わり、午前5時58分を境に記録が途切れた。
メモが再び始まるのは午前9時。雨脚が弱まって水位が下がり始めたが、橋を失った坂本町地区は孤立状態に陥っていた。堀口さんは市役所にいる上司と何度も電話をやりとりし、住民の安否情報を伝え続けた。
昼前には自衛隊が家に取り残された住民の救助を開始。周辺の状況も徐々に分かり始め、橋の流失や道路の寸断を連絡した。通行可能なルートを確認し、断水のため給水車も要請した。
堀口さんは4日夜に対岸の坂本中学校付近に明かりがともっているのを見つけた。水位が下がった翌朝、1人で破損した道路を歩き、1時間かけて1キロ下流の橋を渡り、中学校に着いた。
その後、支所付近の住民もヘリで対岸の中学校に避難し、6日夕には避難していた52人が八代市中心部の避難所に移った。堀口さんは「メモも書き残せないくらい避難に必死だった。雨が続き、再建はいつになるのだろうか」と街の将来への不安を語る。
4日の豪雨で坂本町地区の主要道路は寸断され、3本の橋が流失した。9日になっても町の家屋は土砂にまみれ、がれきが散乱したままだ。
"電話" - Google ニュース
July 10, 2020 at 08:51AM
https://ift.tt/2W55z47
「ネット不通、電話も」 濁流の夜、熊本の市職員メモ - 日本経済新聞
"電話" - Google ニュース
https://ift.tt/2YskIwn
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update
Bagikan Berita Ini
0 Response to "「ネット不通、電話も」 濁流の夜、熊本の市職員メモ - 日本経済新聞"
Post a Comment