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「首まで水」SOS191件も消防浸水 電話もパンク 熊本・人吉下球磨 - 西日本新聞

 熊本県南部を襲った記録的豪雨当日の4日未明から昼ごろまで、甚大な被害が出た人吉市や球磨村を管轄する人吉下球磨消防本部に、少なくとも191件の通報が寄せられていたことが分かった。受理内容からは土砂崩れや道路冠水の後、球磨川の氾濫で事態が一気に悪化した状況が浮かぶ。「首まで水に漬かっている」「逃げられない」。命の危険にさらされたSOSが相次ぐ中、「防災の要」も浸水し、機能不全に陥った。

 「裏山が崩れた」。最初の通報は午前2時ごろ、人吉市の東に隣接する錦町から。人的被害はなく、避難の呼び掛けにとどまった。その30分後には、球磨村の国道219号が土砂崩れで通れなくなり、消防隊が現場確認に向かった。

 そのころ、球磨川の水位は急激に上昇を続けていた。人吉観測所で午前3時10分に氾濫注意水位、20分後には避難判断水位に達した。同時刻、気象庁は球磨村付近で1時間に推定約110ミリの記録的短時間大雨情報を発表し、球磨村は全域に避難指示を出した。午前4時、球磨川は氾濫危険水位を超えた。

 気象庁は午前4時50分、大雨特別警報を発表。10分後、人吉市の北に隣接する山江村から救助要請が入った。「床上浸水している。助けて」。同5時半、同村の淡島神社付近が冠水した。

 事態が切迫したのは午前5時55分。国土交通省が球磨川の氾濫発生を発表し、大規模浸水が発生した球磨村渡地区を中心に、逃げ場を失った住民からの通報が急増した。「濁流で逃げられない」。14人が犠牲となった特別養護老人ホーム「千寿園」からも、時刻不明だが「複数名が2階に避難している」との通報記録が残っている。

 午前6時40分以降、通報エリアは人吉市の球磨川沿いの集落から市街地へと拡大した。「車両水没」「床上浸水」「逃げ遅れ」。119番を受ける通信指令は未明からパンク状態で、消防本部の一般電話も鳴り続けた。「電話がつながらず、受理できなかった救助要請もあっただろう」。内谷順喜消防司令長は苦しい表情で振り返った。

 消防本部も1階部分が最大で約80センチ浸水。消防隊は濁流の中で孤立し、身動きが取れなくなっていた。「通報を受けても現場に行けない。できるのは、内容をホワイトボードに書き写すことだけ。『自宅2階で救助を待って』としか応えられなかった」。明け方ごろ、消防本部が全隊員に出した指示は「自分の身を守れ」。派遣可能な戦力はもう、残っていなかった。

 消防本部周辺の浸水想定は最大5メートル。停電はせず電源喪失は免れたが、予備電源の発電機は水没した。内谷司令長は「最大規模の洪水で消防本部が水没することは分かっていた。訓練もしていた。浸水のスピードが想像を超えた」と明かす。

 内谷司令長は全国から駆け付けた防災機関に感謝を述べ、こう訴える。「私たちの経験と教訓を生かしてほしい。数十年に一度の豪雨はまた必ず降り、どこかを襲うから」 (古川努)

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July 12, 2020 at 04:00AM
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