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「即席」警備140秒の死角 安倍元首相はなぜ銃弾に倒れたか - 毎日新聞 - 毎日新聞

山上容疑者の動き
山上容疑者の動き

 安倍晋三元首相(67)が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件は、8日で発生から1カ月を迎えた。あの日現場で何が起きたのか。山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=の足取りや警備の問題点を検証し、今も社会を揺るがし続ける事件を振り返る。【「凶弾」取材班、グラフィック・かみじょうりえ】

 「みなさん、こんにちは。安倍晋三でございます」。7月8日午前11時29分ごろ、安倍氏は約300人の聴衆を前に参院選の応援演説を始めた。左手の拳を振り上げ、「できない理由を考えるのではなく……」と言いかけたところで銃声が響き、白煙が舞い上がる。その約2・7秒後、2度目の銃声――。安倍氏が銃弾に倒れるまでの約140秒間に何があったのか。目撃者が撮影した動画や取材を基に分析した。

背後から接近、誰も制止せず

 自民党候補の街頭演説会が始まったのは午前11時10分ごろ。会場は近鉄大和西大寺駅北口の交差点にある分離帯だ。四方をガードレールに囲まれ、演説する人は高さ約40センチの赤い台に立つ。

 前方に横断歩道、左右に商業施設や銀行、後方には車道を挟んで駅前のロータリーがあり、車や人がひっきりなしに行き交う。安倍氏は17分ごろに到着し、29分ごろに登壇した。

 周囲には十数人の警察官が配置され、分離帯には警視庁のSP1人と奈良県警の警護員3人がいた。山上容疑者は安倍氏の約15メートル右後方から周囲をうかがっていた。

 演説開始の1分11秒後、山上容疑者が動き始める。…

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