21日投開票された東京都八王子市長選は、無所属新人で元都職員の初宿(しやけ)和夫氏(59)=自民、公明推薦=が元都議で立憲民主や共産、社民が支持した滝田泰彦氏(41)ら4人の無所属新人を破って初当選した。自民党派閥パーティー収入不記載事件で初宿氏に逆風が吹く中、風向きを変えたのは選挙戦終盤に応援に入った小池百合子都知事だった。立民、共産は自民系に勝利を許した昨年12月下旬の武蔵野市長選に続き、追い風を生かすことができなかった。
ブレーキになった‥
「寝られない1週間だった。ヒリヒリ胃が痛む毎日だった。本来、追い風を送らないといけない私がブレーキになってしまい、ご迷惑をかけてしまった」
21日夜、八王子市の繁華街に近い初宿氏の事務所。初宿氏の当選確実が伝わった後、同市の大半を地盤とする自民党の萩生田光一前政調会長は支援者に改めてこう謝罪した。
初宿氏は最終的に滝田氏に6645票差をつけたが、午後9時に始まった開票作業では午後10時半時点の速報値で2人は互角。支援者の間に「心臓に悪い‥」との声が漏れる中、当確が伝わったのは午後10時40分過ぎだった。
昨年11月中旬に出馬を表明した初宿氏に自公がスクラムを組んで背中を押そうとする矢先、自民安倍派(清和政策研究会)などに派閥パーティー収入不記載事件が発覚する。同派幹部の萩生田氏も東京地検特捜部から任意で事情聴取も受けた。
14日の告示日の初宿氏の出陣式で、萩生田氏は開会直前に演説したが、「政治不信を招いた」(本人)として選挙カーには上がらず聴衆に交じって様子を見守った。
自公に厳しい情勢を打破
情勢は初宿氏に厳しかった。公明党都議によれば、今月前半の世論調査では滝田氏が約7000票リードしていたという。陣営関係者は「相手候補の演説内容も共産党系が主導している。革新勢力に牛耳られかねない八王子市政など経験したくない」と危機感を募らせていた。
「追い風」を送ることができない萩生田氏に代わって、自民党の菅義偉前首相、小泉進次郎元環境相、高市早苗経済安全保障担当相、平将明衆院議員、片山さつき元地方創生担当相らが相次いで初宿氏の応援演説のため現地に入った。
しかし、自民の主力議員より威力を発揮したのが、19日に応援に入った小池氏だという。
初宿氏を後継指名した石森孝志市長は21日夜、勝因について「小池氏が八王子にお越しいただいた。これが逆転のきっかけだった」と支援者に解説した。初宿氏本人も記者団に「小池氏が来てから、反応が良くなった。明確なターニングポイントだった」と口をそろえた。
7月の都知事選で3選がかかる小池氏は出馬を明言していないが、自民都連会長を務める萩生田氏は小池氏に借りを作った形となった。
共闘の成果も
敗軍の将となった滝田氏は21日夜、支援者らにこう述べつつ、苦労をねぎらった。
「八王子の歴史でかつてないほど、いろいろな人が共闘してきた。次の政治の動きにつなげていきたい」
初宿氏陣営の事務所から数百メートル離れた滝田氏陣営の事務所。一部報道機関が出口調査で滝田氏の「やや先行」を報じていただけに、初宿氏の当確が伝わると沈鬱ムードが漂う。支援者が連れてきた幼児たちも事務所後方で眠そうだ。
滝田氏は小池氏が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」で都議を1期務め、今回の市長選は立民、共産、社民などの支持を得て、自民系市政からの転換を図ったが及ばなかった。
八王子市民が理解できなかった
敗色濃厚となると陣営幹部は、告示前の世論調査では初宿氏をリードしていたことをふまえ、「萩生田君が夢中になって菅前首相、小泉進次郎君を呼んで呼んで大逆転。まさかという差がついてしまった。選挙は恐ろしい」と頭を抱えた。
ある幹部は支援者に対し「超党派でこれだけ素晴らしい人が集まった。八王子市民が理解できなかったということでしょう」と強がり、別の幹部は「いまの選挙は民主主義ではなかった。カネの選挙で負けた」と強調した。
とはいえ、告示前は優勢が伝えられ、自民党の不祥事も追い風になっているにも関わらず、自公推薦候補に勝利を許したのは、339票差で立民、共産の支持候補が破れた昨年12月24日投開票の武蔵野市長選の状況と重なる。
八王子市長選に詳しい関係者は野党系の乱立を許した状況を念頭に「与党の大逆風を生かせない野党の無策という目も当てられない戦いは今後も続くだろう」と指摘した。(奥原慎平)
身動き取れぬ萩生田光一氏、様子見の小池百合子氏、攻め切れぬ立民
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