「風の電話」祈りの場を守りたい／岩手・大槌町
2020年04月29日 19:30 更新大槌町に「風の電話」と呼ばれる電話ボックスがあります。亡くなった人に思いを伝える祈りの場として震災後、多くの人が訪れる場所ですが新型コロナウイルスの感染拡大を受け電話を設置した男性は複雑な思いを抱いています。
大槌町浪板にあるイギリス風の庭園にたたずむ白い電話ボックス。中にある黒電話はどこにも繋がれていません。「風の電話」と名付けられたこの電話は、病気で亡くなった従弟に思いを届けたいと大槌町の庭師、佐々木格さんが２０１０年に設置しました。その直後に東日本大震災が発生。いつしか「風の電話」には震災で大切な人を失った人々が訪れるようになり、受話器を手に亡き人と心の中で会話をする場所となりました。しかし、今回の新型コロナウイルスによる外出自粛は祈りの場にも影響を及ぼしています。
（インタビュー）佐々木格さん
「心に悲しみを抱えた方々に対してはいつでも誰でもという当初の考え方を踏襲してまして、誰が来ても使って構わないと思ってます」
心の癒しを求めに来る人に「自粛してくれ」とは言えない。佐々木さんは悩みながらも「風の電話」を続ける決断をした上で、大型連休中に計画していた庭園での音楽祭は延期としました。
（インタビュー）佐々木格さん
「このステージがね私なりにね華やかになるようにと思って花を植えたんですよ」
佐々木さんは「風の電話が被災地にとって特別な場所であることを理解してほしい」と訴えます。
（インタビュー）佐々木格さん
「心に傷を負った人の悲しみを癒すのだというところにあるわけですから観光客やそれ以外の人達とは一線を画したところにあると思っています。また来る人達にも理解して来ていただきたい」
佐々木さんは電話ボックスの掃除や消毒を欠かさず、被災地の祈りの場を守る考えです。
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April 29, 2020 at 05:30PM
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