ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は20日、米司法省がアルファベット傘下グーグルを反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴したと報じた。司法省はグーグルが市場優位性を獲得・維持するために反競争的行為に関与したとしている。グーグルの中核事業であるインターネット検索事業が訴訟の焦点だが、司法省はこれとは別に、デジタル広告におけるグーグルの威力についても調査を続けている。各州はそれぞれグーグルの調査を進めており、司法省の訴訟に参加している州もある。グーグルの事業がなぜここまで厳しい追及を受けているのか、以下にまとめる。
グーグルが圧倒的地位にある事業分野とは?
現代の検索エンジンを発明したグーグルは、インターネットへの主要なポータル(玄関口)サイトとして引き続き圧倒的優位に立つ。司法省によると、グーグルは米国の検索クエリの約8割に相当する検索経路を支配している。さらに、オンラインビデオ(YouTube)から地図(Google Maps)に至るまで、消費者向けテクノロジーの他分野でも大きな力を発揮している。調査会社スタットカウンターによると、同社のブラウザー「Chrome(クローム)」は世界のオンラインブラウザー市場で約70%のシェアを握り、米市場のおよそ半分を占めているという。調査会社IDCによると、同社の携帯端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」は世界のスマートフォンの約85%、米国内では約56%に搭載されている。グーグルは自社製品内の広告販売で収益を上げている。
あなたがウェブ上のどこかで広告を売買しているなら、グーグルと取引している確率は極めて高い。デジタル広告費用3ドルにつき1ドルはグーグルに流れ、2019年の同社広告収入は1350億ドル(約14兆円)近くに達した。政府や業界でグーグルに批判的な向きは、同社が反競争的な慣行を通じて市場の覇権を握っていると言う。
グーグルは競争上の懸念の声に対応したブログ投稿で、「価格が無料もしくは下落し、製品が常に改善される競争の激しい多くの分野」で運営していると説明した。
グーグルは検索結果の表示で激しく競争しているのか?
一般的な検索に関しては、グーグルの優位性を回避することはできない。スタットカウンターによると、グーグルはモバイル端末で米検索クエリの95%を処理している。デスクトップだとシェアは81%となり、マイクロソフトの「Bing(ビング)」が13%で後に続く。グーグルサーチの2019年売上高は約980億ドルだった。
グーグルは、何かを購入する意欲があり、広告主にとって最も価値のある人々が行う検索クエリを規制当局は真に考慮すべきだと主張。この領域では「競争が特に激しい」とし、アマゾンがライバルとして台頭していると述べている。
調査会社のイーマーケターによると、こうした切り口で検索市場を見ても、グーグルは米国の検索広告収入全体の約63%を占め、なお圧倒的優位に立っている。
検索におけるグーグル覇権は競争をどう阻害するのか?
司法省は世界各国の規制当局と同様に、アップルのスマホiPhone(アイフォーン)でウェブブラウザー「Safari(サファリ)」のデフォルト検索エンジンに設定するために、グーグルがアップルに数十億ドルを支払っていることに注目している。
批判者はこの取り決めについて、Bingなどの競合が検索クエリデータを十分に収集して検索エンジンに競争力をつけることを妨げていると指摘する。
欧州委員会は2018年、グーグルがアンドロイドOSに制限をかけ、自社検索エンジンにトラフィックを事実上強制的に流入させたとし、40億ユーロ(約5000億円)超の罰金を科した。
グーグルはブログ投稿で、「最高の検索結果を提供することがわれわれの成功の基盤であり、そうでなければ、ユーザーはすぐさま容易にライバルに乗り換えることができる 」としている。
グーグルは検索エンジンを他事業にどう役立てているのか?
グーグルの検索機能を巡っては、旅行や地域ビジネスのレビューといった分野を含む自社資産を優先しているとの批判がある。携帯電話の普及によって検索結果の表示スペースが減ったことから、こうした不満は一段と強まっている。米連邦取引委員会(FTC)がこの問題について過去に調査を行った際に述べたように、競合他社からは結果表示で「スクロールしないと見えない下方に押しやられている」との声も上がっている。グーグルは、「次のボストン行きのフライトは何時?」などの質問に対して、ユーザーに別のウェブサイトへのリンクを送るのではなく、自社サービスのフライト時刻表を使って回答しているケースもある。
グーグルはこれについて、単に検索結果を表示するためのよりユーザーフレンドリーな方法であると主張してきた。FTCは2013年、基本的に同意すると述べ、検索バイアスの疑いを巡る調査に終止符を打った。
グーグルのテクノロジーがウェブ上の広告表示に果たす役割とは?
自動化されたオンライン広告では、広告枠を購入したい企業と、広告枠を売りに出すウェブサイト(例えばニュースサイトやブログなど)の間に、いわば中間業者のチェーンが存在する。グーグルはそのチェーンの継ぎ目ごとに支配的な製品を所有している。2010年に広告テクノロジー企業ダブルクリックを買収したグーグルは、この分野で主要プレーヤーとなり、時間をかけて事業を拡大してきた。
英国の競争法当局によると、パブリッシャーの広告枠販売を可能にするグーグルのツールは今や、市場で9割超のシェアを握る。広告主の代理で広告を提供する製品の市場シェアも8割を超え、広告オークションの売買が一瞬で行われる入札取引向け製品のシェアは50%超となっている。
グーグルはブログ投稿で、オンライン広告界に競合がひしめいているのは「よく知られるところだ」と主張している。
グーグルはその影響力を利用して不当な優位性を得ているのか?
グーグルの競合他社、広告主、オンラインパブリッシャー、米国の与野党議員はいずれも、グーグルがこうした業界の垂直統合に内在する利益相反に乗じていると主張している。グーグルは統合的な広告ビジネスで売り手、買い手、そして瞬時に行われるオンライン広告販売のオークションハウスを代表している。その上、グーグルは広告枠を販売するパブリッシャーの直接競合ともなる。
これに加え、グーグルが競争を阻むようなやり方で製品を連動させているとの主張もある。例えば グーグルは2016年、広告バイヤーに対し、YouTube上の広告にアクセスするにはグーグルの広告購入ツールを使用するよう要求し始めた。これを受け、「必需品」となったYouTubeを利用して広告購入ツールを後押ししているとの苦情が競合の間で巻き起こった。
パブリッシャーは、グーグルがオンライン広告入札で不当な優位性を手にし、パブリッシャーに損害を与え自社の広告取引事業を有利にする方向へプロセスを傾けていると苦情を申し立てた。
グーグルは反競争的な方法でツールを使用しているとの指摘を否定。競合との「相互運用性」を高めており、パブリッシャーや広告主には広告技術ツールの多くの選択肢があると主張している。
グーグルの広告覇権は消費者に害をもたらすのか?
グーグルや同社の支持者は、広告事業におけるグーグルの優位性によって広告価格が引き下げられ、消費者に無料サービスを提供することを可能にしたと指摘している。だが、世界の規制当局や米国の独禁法専門家の見方は異なる。オンライン広告市場の競争が一段と激しい場合に比べ、企業は物とサービスを提供する上で消費者にさらなる代金を請求することになるとの見立てだ。
さらに、公正に取引されている場合に比べ、消費者は利用習慣や関心を持つもの、位置情報など、より多くのデータをこれらの製品に吸い取られることを余儀なくされているという。より競争の激しい市場がもたらすであろう革新的な製品を、消費者が得られずじまいになっているとの主張もある。その上、オンライン検索と広告市場の機能不全は、地域ジャーナリズムの衰退と誤情報の増加に加担する格好になっているとの指摘も出ている。
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