ロシアの攻撃が続くウクライナ東部ドニプロから、家族と別れて一人で日本に避難した少女がいる。ズラータ・イヴァシコワさん(17)。日本語を学び、いつか日本に行きたいと考えていた少女の夢を、戦禍の中でかなえたのは、ウクライナの惨禍に思いを寄せる日本の人たちの尽力だった。(永瀬章人)
「たくさんの出会いに支えられ、ここに来ることが出来た。不思議な縁を感じる」
ロシアの侵略開始から24日で1年となり、ズラータさんは振り返る。日本に来て10か月余り。今はアニメ「文豪ストレイドッグス」で憧れていた街・横浜で一人暮らしをしている。
専門学校で日本語を勉強し、ウクライナの専門学校のオンライン授業で絵を学ぶ毎日に、「1年前には、全然考えていなかった生活です」と話す。
侵略が始まった日は、故郷・ドニプロにいた。当時は16歳。ウクライナ屈指の工業都市として知られる街で、母のユリアさん(48)と2人で暮らしていた。
突然、ユリアさんから「日本に行きなさい」と、告げられたのは開戦から3週間となる3月16日朝のことだ。寝起きで一瞬、何を言われたのか分からなかった。日本には知人は一人もいないはずだった。
ユリアさんは娘に知らせず、安全な日本へ逃がそうと準備をしていた。
ただし、つてはない。そこで頼ったのが、東京都墨田区の会社役員羽鳥佑一郎さん(42)だ。娘が以前、ネットで太宰治の「人間失格」の本を購入した際の販売元だった。
「身元保証人になってもらえないか」。羽鳥さんのもとにロシア語のメールが届いたのは3月4日だ。
羽鳥さんは驚いたが、わずかな縁にすがる気持ちは、子を持つ親として痛いほどわかった。即座に引き受けることにした。「そのために自分が割くことになる時間や労力は、我が子の命を守りたいという思いの前ではささいな問題だった」
通話アプリでやりとりを重ね、事情を聞いた。ユリアさんの家は決して豊かではなく、住宅や生活費、学費の支援が必要だった。都や国内の支援団体に問い合わせ、何とかなりそうだと打ち返したのが、ズラータさんが「日本に行きなさい」と告げられた3月16日だ。
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