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仙台七夕まつり 母から嫁ぐ娘へ、幸せ願う吹き流しのウエディングブーケ - 河北新報オンライン

娘杏奈さん(右)と七夕飾りを眺める松沢美紀さん=6日午前10時30分ごろ、仙台市青葉区中央2丁目

 6日開幕した仙台七夕まつりに、間もなく創業100年を迎える水晶堂眼鏡店(青葉区)が大型飾りを出した。世情を映したテーマを掲げて手作りしてきたが、今年は異例の「ウエディングブーケ」。常務の松沢美紀さん(63)が嫁ぐ娘のはなむけにと1000輪を超える紙花をあしらった。万感を込めた吹き流しは、見物客の目に輝いて映る。

老舗眼鏡店「水晶堂」紙花、一輪一輪美しく咲かせ

ウエディング・ブーケをテーマとした水晶堂の七夕飾り=6日、仙台市青葉区中央2丁目

 「うわー、これは手が込んでいる」「この下で写真を撮ろう」。観光客が次々足を止め、色とりどりの紙花に彩られた吹き流しにレンズを向けた。

 クリスロード商店街の西側入り口。松沢さんは店の前に掲げた飾りの下に人だかりができるのを見て「中止や縮小を経て、4年ぶりの通常開催。街のにぎわい復活に役立ててうれしい」と目を細めた。

 1925年創業の老舗に嫁ぎ、飾り作りを20年近く担ってきた。自らテーマと色調を決め、下絵を描く。構想に合わせて材料を買いそろえたら、あとは10人の社員の手を借りてひたすら作業。今年も接客の合間を縫いながら、3カ月をかけて完成させた。

 松沢さんはこれまで、テーマを「五輪」や「海」など、時々の流行を踏まえて決めてきた。今年は違う。長女杏奈さん(29)が11月に結婚式を控える。例年テーマを家族に相談してきたが、今年は黙って、秘めた思いを吹き流しに込めた。

松沢さんが企画した七夕飾り。ブーケをイメージし、花は一つ一つ手作りした

 紅白のバラ、オレンジのカーネーション、青いアジサイ。一輪作るのに最多で7枚の紙を切って貼り合わせた。その数、1000輪以上。社員は嫌な顔一つせず付き合ってくれた。眼鏡を扱う手先の器用さを生かし、一輪一輪の美しさにこだわってくれた。

 飾りの下で「七夕を訪れる皆さんはもちろん、今年はあなたと旦那さんの幸せも願って作ったの」と娘に語りかけた母。思いに触れた杏奈さんは「これ以上の祝福はない」と目を赤くした。

 今年の七夕まつりはメイン会場となる中心部の大型飾りが249本。新型コロナウイルス禍前の約8割にとどまる。制作も専門業者に依頼する店が増え、自前で作る店は減る一方だ。

 そんな中でも、水晶堂はコロナ禍で中止になった2020年、縮小開催となった21年も店先に手製の小さな飾りを掲げ、伝統をつないできた。

 松沢さんは「店として約1世紀、途切れることなく作り続けてきた重みを感じる。今年は少し私情が入ったけれど、これからも多くの人に楽しんでもらえる七夕を作り続けたい」と誓った。

娘の杏奈さん(左)の結婚式を控え、ブーケをイメージした七夕飾りを企画した水晶堂の松沢美紀さん(右)=6日、仙台市青葉区中央2丁目

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