田中角栄元総理大臣が住んでいた家が全焼した火災で、線香が火元となった可能性はあるのでしょうか。消防士として30年間にわたり火災の原因調査に携わった減災研究室「ラボラトリー・フィードバック」主宰の永山政広さんとこの火災を検証していきます。
■「無炎燃焼」線香が火災へと広がる過程
8日に発生した火災について、当時、敷地内にいた田中眞紀子元外務大臣は「線香をあげていた」と説明しました。現状で火災につながりそうな情報はこれだけです。線香があの800平方メートルという大きな建物を全焼させるような火災につながることはあり得るのですか?
永山さん:はい。線香自体は非常にわずかな炎なんですけれども、条件が整えば、家を燃やすということは十分考えられます。可能性があります。
まだ警視庁が捜査中で、ほかにも可能性はありますが、「線香」と「火災」の関係について深く聞いていきます。永山さんは「線香が火災につながるケースは、気付かないうちに『無炎燃焼』が拡大することが原因になっていることが多い」と指摘されています。線香からどのように「無炎燃焼」が広がり、火災につながっていくのですか?
永山さん:線香を立てた時に何かの拍子に倒れたり、ひびが入って何かの関係で折れたりして、それが落ちたところにたまたま燃えやすいものがあると火災につながるという可能性があるんですね。
仏壇ですと、当然、座布団もありますし、上にもたくさんあります。
永山さん:燃えるものもありますし。場合によっては畳の上に落ちて、出火するということも考えられます。
■なぜ気付きにくい?無炎燃焼による火災
無炎燃焼が実際に火災につながっていく様子を捉えた実験映像によると、枕の上に火のついた線香を置き、43分後には線香は燃え尽きますが、この段階ではどのような状態なのでしょうか?
永山さん:白くなっているのが、実は先が燃えて灰になっていて、その下の黒い部分というのはこの座布団が焦げて、場合によっては横に燃え広がっている。あるいは、中の方にだんだん燃え進んだりということが起きます。さらに時間をかけると、真っ黒にも焦げてしまうこともあり得ると思います。
煙もほとんど出ないんですね。
永山さん:そうですね。特に線香の煙や匂いと一緒になって、なかなか気付きにくいということもあると思います。
火種が広がっていって、黒焦げになってようやく炎が出るわけですが、無炎燃焼の状態から炎が上がるまで、どれぐらいの時間がかかりますか?
永山さん:場合によって1時間程度、あるいは10分程度で温度が上がる場合もあります。何時間も、半日あるいは一日たっても炎が上がらなくて、くすぶり続けることもありますので、非常に捉えにくい火災と言えます。
なぜ異常に気が付きにくいんですか。
永山さん:まったく匂いがないところでくすぶると、人間はすぐに分かると思います。元々、線香は匂いがしているので、線香の匂いと無炎燃焼の布団が燃えたような匂いとが区別がしづらい、まさかと思うところで気付きにくいのかなというふうに思います。
無炎燃焼による火災というのは、件数としてはどの程度あるものなんでしょうか。
永山さん:線香あるいはそういった類のものは、その件数は少ないです。ただ、同じ原理で起こるタバコは出火件数もナンバーワンと言われています。これは同じ無炎燃焼で起きますので、注意が必要な火災ですね。
どちらも、やはり気付きにくいということがあるんですか?
永山さん:タバコも線香も消したつもりでも、実は燃えていたというようなことがあります。ついつい油断してしまって、気が付いた時にはもうすでに手遅れになっているというようなことがありますので、注意が必要な火災だと思います。
(スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2024年1月9日放送)
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